社会保険(健康保険・厚生年金保険)とは
社会保険(健康保険・厚生年金保険)とは


◇ 社会保険(健康保険・厚生年金保険)とは

社会保険とは、狭義では医療保険である健康保険と、年金保険である厚生年金保険を指します。社会保険として事業所の適用、被保険者の資格取得、喪失手続、保険料の算定・納付など、健康保険と厚生年金保険を1枚の用紙で行います。

適用事業所に使用されている人は、原則としてすべて被保険者となります。パートタイム労働者の場合は、常用的使用関係にあるかどうかで判断され、所定労働時間と所定労働日数が概ね4分の3以上である場合に被保険者となります。例外として被保険者とならない人は@国民健康保険組合に加入している人、A日々雇用される人、B2ヶ月以内の期間を定めて雇われる人、C季節的業務に4ヶ月以内の期間雇われる人、D臨時的事業に6ヶ月以内の期間雇われる人などです。

会社が行う主な事務手続  (提出場所:年金事務所)

 
届出する時

届出書類名

1

従業員の採用
(資格取得日は入社日)

被保険者資格取得届
(被保険者証が事業主へ交付される)

2

従業員の退職
(資格喪失日は退職日の翌日)

被保険者資格喪失届

3

従業員の氏名変更

被保険者氏名変更届

4

被扶養者の異動

被扶養者異動届

5

賞与支払

賞与支払届
6 会社の所在地・名称の変更 適用事業所(所在地・名称)変更届
7 代表者の住所変更 事業所関係変更届

社会保険料の算定・納付

(1)標準報酬月額と等級

健康保険や厚生年金保険は、保険料や保険給付の額を被保険者が受ける報酬額を基礎として算定します。標準報酬とは健康保険・厚生年金保険の独自の考え方です。一定の範囲で区分した「標準報酬月額」と「等級」を設定し、被保険者の毎月の給与などの報酬を該当する範囲に当てはめて決定します。

健康保険

第1級 58,000円 〜 第50級 1,390,000円

厚生年金保険

第1級 88,000円 〜 第31級  620,000円

また賞与の保険料については上限金額を設定したうえで「標準賞与額(1,000円未満切り捨て)」に、保険料率を掛けて算出します。

(2)標準報酬月額の決定

標準報酬月額は、まず入社時に決められ、毎年決めなおします。また、報酬が大幅に変動した時も決めなおします。

@資格取得時決定
新しく被保険者資格を取得した従業員の標準報酬月額は、被保険者資格取得届を基礎に決定し、1月〜5月に入社の時はその年の8月まで、6月〜12月に入社の時は翌年8月まで有効とします。

A定時決定
報酬は昇給等で変動し、現在の報酬に対応した標準報酬月額とするため、全ての被保険者について毎年1回、標準報酬月額の見直しをします。これを、「算定基礎届」による「定時決定」といいます。対象となるのは、7月1日現在の被保険者で、4,5,6月の報酬を平均して新しい標準報酬月額を決定し、その年の9月から翌年8月まで適用します。

B随時改定
定時決定で決まった標準報酬月額は、原則として次の定時決定まで変わりません。しかし、大幅な昇給、降給により報酬の額が著しく変動する場合は、標準報酬月額の改定を行うことができます。これを「月額変更届」による「随時改定」といいます。随時改定は、次の3つの条件に当てはまる場合に、変動があった月から4ヶ月目に行われます。

・昇(降)給などで、固定的賃金に変動があった時
・変動月以後引き続く3ヶ月間とも支払基礎日数が17日以上ある時
・変動月から3ヶ月間の報酬の平均額と現在の標準報酬月額に2等級以上の差が生じた時

(4)保険料

@健康保険
全国健康保険協会管掌健康保険の保険料は、事業主と被保険者が折半で負担します。事業主は被保険者に支払う給与から被保険者負担分の保険料を控除して、事業主負担分と合わせて保険者に納付する義務があります。全国健康保険協会管掌健康保険の保険料率は、一般保険料率は兵庫県の場合1000分の10.06、介護保険料率は1000分の1.65を合算した率です(平成29年3月分現在)。健康保険組合の場合は、1000分の30から100までの範囲で、その組合の実情に応じて決めることができます。負担割合は事業主負担を増やすことができますが、上限が決まっています

A厚生年金保険
厚生年金の保険料も健康保険と同様、事業主と被保険者が折半で負担します。平成29年9月〜保険料率は1000分の183.00です。


◇ 労働保険とは


労災保険と雇用保険を総称して労働保険といい、厚生労働省が管理・運営をしています。

実際の窓口は、労災保険は労働基準監督署、雇用保険は公共職業安定所(ハローワーク)がそれぞれ担当しています。保険給付等は各制度別々に行っていますが、原則として保険料の申告・納付は労働保険料として一括して行います。

(1)労災保険
労災保険の保険料は、全額が事業主負担となっています。事業主が支払っている賃金総額により保険料を計算し、それぞれの労働者がもらっている賃金によって保険給付の額が決まります。保険料率は業種により異なり、災害の発生率を基準としています。平成29年度は1000分の2.5から1000分の88となっています。

(2)雇用保険
雇用保険については、「雇用保険・ハローワークに関する事務手続き代行」の詳しくはコチラからをご覧ください

 

労働保険の申告・納付

(1)年度更新の流れ
労働保険の保険料は、毎年4月1日から翌年の3月31日までの1年単位で計算します。その事業に使用される全ての労働者に支払われる賃金総額に、その事業の保険料率をかけて算定します。

労働保険に加入すると、保険年度当初に1年分を概算で申告・納付し、翌年度の当初に確定申告して、その過不足を精算する「年度更新」の手続を毎年行ないます。実施期間は毎年6月1日から7月10日で、「概算・確定保険料申告書」と「納付書」が労働局から送られてくるので、必要事項を記入し保険料を添えて都道府県労働局または労働基準監督署に申告・納付します。

概算保険料額が40万円以上の場合、これを3回に分けて分納する「延納」の制度もあります。

(2)一般拠出金
一般拠出金は、石綿(アスベスト)健康被害者の救済費用のため、平成19年より申告・納付が始まりました。労働保険の確定保険料の申告に併せて、申告・納付を行い、料率は全事業一律1000分の0.02です。事業主が全額負担することになっていて、延納(分割納付)はできません。